「草野球の窓」

第46章
「三振かホームラン」

 冬季オリンピック(1998年)での原田選手のジャンプには日本中がハラハラした。原田選手の父親がインタビューの中で、「あの子は三振かホームランだから」と語っておられたのが印象的であった。 プロ野球では三振も多いが、ホームランも多いという選手がいる一方、イチロー選手のように三振が極端に少なく、非常に打率が高い選手もいる。プロ野球だから色々なタイプの選手がいていい。色々な場面で、色々なタイプの選手が登場し、意外性を発揮したり、観客の期待に応えてくれるのが楽しみの一つだからだ。

 それに対して、高校野球では解説者がコンパクトにセンター返しをしないとだめだと言う。確かに、いい投手に対して振り回していたのではヒットは打てない。コンパクトに鋭くバットを振り抜かねばならない。しかし、いくらセンター返しを心掛けても打てないものは打てない。たまに単打が出ても続かなければ点には結びつかない。
 ところが、ホームランは一発で膠着した試合展開の流れを変えたり、逆転する効果を持つ。どうせ打てないならばホームランを狙ったほうが効果的だと考えるのも当然である。

 ホームランはバットを振り回したから打てるというものではない。バットとボールの当たる角度、打球の回転、打球に与えられた運動エネルギーなどで決まる。インパクトの瞬間に出来るかぎりの力を与えるには、むしろコンパクトな振りの方が適している。腰を中心とした体の回転、腕の力、手首の力などが重要だ。つまり、普通の打ち方なのであって、特別な打ち方なのではない

 草野球ではとかくホームランを狙うと、大振りになったり、肩に力が入り、絶好球をファールし、変化球に空振りして三振したり、 振り遅れたり、ミートできずに凡打に終わる。
 だが、大振りになったり、肩に力が入ったりすることさえなければ、ホームランを打ってやろうという気持ちで打席に入ることは 決して悪いことではない。その結果が三振であっても仕方のないことである。

 草野球は楽しむためにある。チームが勝てば楽しい。そのためには、色々なタイプの選手がいる方がいい。三振かホームランのバッターがいれば、手も足も出ない投手に対戦しても、もしかしたらという期待感を持てる。コツコツ、センター返しをする選手であれば、 ここ一番のチャンスで何とかしてくれるだろうと期待できる。足が速く内野安打の多い選手には、突破口を切り開いてくれる期待がある。バントの上手な選手は確実に走者を進めたり、スクイズを決めて貴重な点を生み出してくれるという期待がある。

 要するに自分に適したバッティング、自分なりの特徴を身につけること

 これ、ゆめゆめ忘れることなかれ。

(平成10年3月2日掲載)


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