「草野球の窓」くまの穴

第2章(7)「守備と走塁に対する判定」
G.アピールプレイ
(4)補 足
 最後にアピールプレイについての説明の補足を致します。

例1
 一死走者二塁。打者は右翼線へ飛球を打った。走者は打撃と同時に三塁へ向かって走ったが、右翼手がこの飛球を捕球したのを見て、二塁へ引き返した。右翼手は直ちに二塁へ送球。二塁手が走者より早く触塁した。審判員は走者のアウトを宣告、三死となった。

 この例は頻繁に見られる平凡な二重殺です。しかし、このケースのように走者をアウトにする行為も、実はアピールプレイなのです。走者の離塁が捕球より早いということを、野手は走者に直接タッグするか、または塁に触れてなおかつ言葉でその旨を審判員に申し出なくてはならないのです。とは言っても、言葉でアウトを求めているケースはまずありません。野手が塁にタッグした時点で、審判員はアウトなりセーフを宣告しています。この例は、アピールプレイ中の例外と言えるでしょう。野手が言葉で審判員に訴えなくても、審判員は走者に対する判定を行ってもよいということになっています。


例2
 二死走者満塁。打者は場外本塁打。しかし、一塁走者は三塁を踏み忘れ、打者は一塁を空過していた。試合開始後、野手は三塁でアピール。一塁走者はアウトになった。ところが、守備側の選手がダッグアウトへ戻っている最中に、ダッグアウトにいた監督が打者の一塁空過をアピールするよう指示を出した。内野まで戻ってきていた右翼手がマウンド付近に置いてある球を手にして一塁に触れ、審判員に打者のアウトを求めた。このアピールは認められるか?

 この例では、アピールした時点で、投手を含む内野手が全員ファウルラインを越えてダッグアウトに戻っている最中であったかどうかが争点となります。アピールのあったとき、投手を含む内野手が一人でもフェア地域に残っていれば、そのアピールプレイは有効で、審判員はアウトかセーフのコールをしなければなりません。しかし、投手を含む内野手全員がファウルラインを越えてしまっていて、一人も内野に残っていないときにアピールがあっても、アピール権が消滅していますから、審判員はこれを受け付けてはいけません。三死の後のアピール権は、投手を含む内野手が全員フェア地域を離れたときに消滅します。注意しましょう。


例3
 後攻チームは三点差で負けていた。最終回、後攻チームは二死満塁のときに打者が場外本塁打を打ち、サヨナラ勝ちとなった。そして、試合終了の挨拶のため、両チームの選手が全員本塁に集まった。球審が試合終了の宣告を行おうとした直前に、先攻チームの三塁手が球審へ球を要求した。球審から球を受け取った三塁手は後攻チームの一塁走者に触球して三塁の踏み忘れをアピールした。投手を含む内野手が全員フェア地域を離れた後のアピールであるから、すでにアピール権は無くなっているのではないか?

 いいえ、試合終了時のアピール権消滅の時期については、別に規定があるのです。球審が試合終了の宣告を行い、両チームの選手が挨拶を交わしたときに、アピール権は消えます。ですからこのケースではアピール権はまだ生きています。審判員はこのアピールプレイに対して答えなければいけません。もしセーフの判定でしたら、後攻チームの逆転勝利です。しかしアウトの判定ですと、二・三塁走者の得点は認められますが、一塁走者と打者の得点は取り消されることになり、一点差で先攻チームの勝ちとなります。

 アピールプレイについての解説は以上で終わりです。単純に見える規則でも、いざ当事者になってみると正しく運用できるかどうかは不透明なところが多いことでしょう。しかし、審判員たるもの、失敗を恐れていてはちっとも上達しません。思い切って ドーン! と試合へ挑んでください。

   今日も元気に「ストライク!」




(2001.6.30)

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草審判員 くま


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