「草野球の窓」
第13章
「日焼け」

 我々草野球人には日光が似合います。日光の降り注ぐグランドを見るだけで我々の野球意欲は高揚し、太陽に感謝しつつ試合に興じることができるのです。
 しかし、そのありがたい日光も度を過ぎた量であれば、かえって有害なものとなり得ます。第7章ではその一つの有害例として太陽熱を取り上げましたが、今回は日焼けについて考えてみることにしましょう。

日光の内訳
 日光は下表に示すように波長により大きく3つに分類することができます。(単位はÅ,オングストローム)

赤外線7,700〜100,000
可視光線3,900〜7,700
紫外線3,900以下

 ご存じの通り、日焼けを起こすのは紫外線です。表では3,900Å以下となっていますが、このうち2,900Å以下の紫外線は大気中で吸収されるため、問題となる紫外線は実質2,900〜3,900Åの紫外線ということになります。驚くことに、この部分の紫外線は日光全体のわずか0.2%にすぎません。
 さらにこの部分の紫外線は、皮膚の通過程度によって2つに分類することができます。

2,900〜3,200Å真皮層の血管にまで達し、皮膚に発赤やメラニン増加を招く
3,200〜3,900Å真皮層まで達し、メラニン増加を招くが、皮膚の発赤を招くことは少ない

 つまり、真夏に我々の皮膚に有害な日焼けを起こすのは2,900〜3,200Åの紫外線ということがわかります。我々の紫外線対策の対象はこの部分の紫外線なのです。

日焼けの正体とは
 日焼けとは、別の表現をすれば皮膚の軽いやけどであると言えます。皮膚には実に多くの血管が存在しています。これらの血管は神経によって支配されており、外界からの刺激によって容易に拡張したり収縮したりします。日焼けの場合、紫外線が刺激となるわけです。血管が拡張すると、より多くの血液が流れ込みますから、外見的には皮膚が赤く見えることになります。刺激が長く続いた場合には、血管から血液の水分がしみ出していき、局所的な水腫が出現することになります。これがいわゆる日焼けによる「水ぶくれ」です。このように体に害のある日焼けの状態は sun burn と呼ばれます。sun burn が起きるとそれを回復するために大量のタンパク質が動員されますから、体力の消耗を招くことになります。
 ただし、日焼けはすべてが体に悪影響を及ぼすものとは限りません。メラニンが増加し単純に皮膚が黒くなるだけの日焼けは sun tanning と呼ばれ、体に負担はかかりません。

日焼けを防ぐために
 sun burn を予防するには、できるだけ太陽光を浴びないということに尽きます。最近ではうなじ部分を隠すようなアンダーシャツもありますし、腕を隠すなら長袖という手もありますが、一番現実的なのは、やはり日焼け止めクリームの利用でしょう。
 日焼け止めクリームには、sun burn を防ぐための二つの大きな機能が備わっています。一つは2,900〜3,200Åの紫外線を吸収する働きで、このために紫外線遮断剤(パラアミノ安息香酸化合物、サリチル酸化合物、桂皮酸化合物など)を含有しています。もう一つは、紫外線を散乱させ減弱化する働きで、クリーム中に含まれるパウダーがその機能を担います。パウダーが多いほどこの機能が高いことになります。

 また、ビタミンB、特にB2が不足すると、皮膚の日光に対する抵抗力が低下します。よって、真夏にはビタミンBの摂取を心掛けることも予防の一つとなるでしょう。

 すでに日焼けした皮膚には sun burn はあまり起こりません。すでにあるメラニンが紫外線を吸収するためです。これは逆に、色白な人ほど sun burn を起こしやすいことを意味します。

日焼け止めクリームの利用方法
 日焼け止めクリームには、その効能を示す2種類の表示があります。製品によってはどちらかが表示されていないものもあるようですが、その表示の意味を確認しておきましょう。

 クリームを選択する際のもっとも目安になるものは、SPF(Sun Protection Factor:日焼け止め指数)です。これはクリームを塗って日焼けを起こすまでの時間が、塗らない時より何倍かかるかを示したものです。真夏の海岸(千葉県)で日光に当たると、平均的な日本人では20分で日焼けを起こしますから、SPF値が15のクリームを塗るとその15倍の時間(300分)で日焼けを起こすということになります。

 市販されている日焼け止めクリームのSPF値での分類は下の表のようになります。

<SPF>日常用レジャー用
タイプ I 10〜2030〜40
タイプ II 10〜2020〜40
タイプ III 5〜1515〜25

 草野球の場合、試合前後合わせて3時間と仮定すると、SPF値が9以上のものを選択する必要があります。レジャー用のクリームであればどんなものでも理論的には間に合うことになります。ただし、これは平均的な場合ということですので、個人差があることを承知してください。また地域の紫外線量の差も考慮する必要があります。沖縄では北海道の2倍の紫外線量であるといわれています。レジャー用のタイプ I、もしくはタイプ II の選択が無難なところではないでしょうか。

 SPF値とは別にPAという表示もあります。これは sun tanning の防止のための指標で、+、++、+++の3段階で表示されます。主に美容という観点での指標ですから、我々の場合は、SPF値を指標としてクリームを選択するのがよろしいかと思われます。

(初版2002.7.7)
(改訂2003.8.7)


【参考資料】
(1)「美容のヒフ科学」安田利顕, 南山堂
(2)「日焼けとスキンケア」川田 暁, からだの科学, 2002.5, p75,日本評論社


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