|
巷ではよく“健康ブーム”と言われます。健康であるということは誰もが当たり前に願うことですから、それがブームになるという現状はいささか異常であると言えましょう。本来、健康という言葉は、明治時代に“health”の訳語として作られた言葉で、単純に体に異常がない状態を指します。異常がないことがブームになるということの方がむしろ異常です。 ブームであるかどうかを抜きにすれば、健康に興味を抱くことは結構なことです。しかし、その興味に対して正しい情報が提供されなければ、時として健康とは逆の結果を生むこともあります。平成18年5月に発生した「白インゲン豆ダイエット法」による食中毒などはその実例です。これはテレビ番組で放送された誤った情報が原因でした。
さて、これら娯楽番組から発信される健康情報の信憑性はどの程度あるのでしょうか。食中毒を誘発してしまった実例がある以上、100%信頼できるものではなさそうです。テレビの健康情報番組のうち、特に「食」に関する情報について、視聴者に与える影響や内容の信憑性に関する、群馬大学教育学部・高橋久仁子教授の調査報告(H15〜18年)がありますので、その一部を紹介いたします。
A.NHK「ためしてガッテン」と日本テレビ「おもいっきりテレビ」の両方を見る B.上の番組のどちらかを見るか、その他の健康番組を見る C.特に見ない の3つの群に分けます。まず、「食品の健康効果に関する興味」について、「大いにある」と答えた割合はA.67%,B.43%,C.14%でした。「○○は体によいと聞いて、効果を期待し食品を購入したことがある」のは、A.89%,B.78%,C.53%でした。さらに具体的な例として、「卵黄レシチンはボケを予防する」と信じていたのは、A.29%,B.10%,C.10%でした。なお、卵黄中のレシチンがボケを防止するという科学的証明はなされていません。 アンケートの結果、NHK「ためしてガッテン」と日本テレビ「おもいっきりテレビ」の両方を見ると答えた人は、「体によい」と聞いた食品を次々と試す傾向がある、と報告されています。
(1)ある食品を大量に摂取して得られた結果を、少量の摂取で効果があるかのようにいう。
(2)論文に記述がないにもかかわらず、書いてあったかのようにいう。
(3)対照群で得られた改善効果に言及せず、実験群の効果のみを力説する。
以上のことから、テレビの健康情報番組が提供する情報は、論文の一部分だけを強調したり、内容を改変するケースがあると高橋教授は結論づけています。
(2006.9.3)
【追加】 この番組は関西テレビと制作会社「日本テレワーク」の共同制作ですが、その捏造の中身は、
(1) 納豆で中性脂肪値が正常になったと紹介していたが、そんな測定はしていなかった。 このように番組中捏造だらけでした。もはや情報番組と呼べる内容ではありません。しかもこの放映のタイトルは「食べてヤセる!!!食材Xの新事実」でした。捏造の数々を堂々とタイトルで「事実」だと言い切っていたわけです。当然、番組は打ち切りとなりました。
(初版2007.1.21) (改訂2008.5.24) 【参考資料】 (1)2006.8.12放送終了。「人間!これでいいのだ」という科学情報番組に変更されたが、ここでも論文無断使用問題ややらせ疑惑が浮上し、2007.2.24放送打ち切りとなった。 (2)テレビの「健康情報番組」の視聴と食品の利用行動, 高橋久仁子,深町亜矢子, 平成16年 第58回日本栄養・食糧学会講演要旨集 (3)TVの「健康情報娯楽番組」が話題とする食情報の問題点, 高橋久仁子, 平成18年 第60回日本栄養・食糧学会講演要旨集 (4)やらせ, ウィキペディア (5)TBS“偏向映像”放映…今度は安倍を狙い撃ち, ZAKZAK 2006/07/26 (6)「朝まで生テレビ!」データ数値と角度の怪! |
| <<第17章「天然ゴム」 | 「草野球の科学」メニュー | 第19章「球速の決定要因」>> |
|---|