「草野球の窓」
ミャンマー野球紀行 <8>


ミャンマーに全日本のヘルメットが!

5月4日(日)
 今日は良い天気。50℃近い気温だろう。5月末から始まる雨期が近づいてきたせいか、最近は空に雲が多かったが今日は快晴だ。
 午前中は試合形式での練習。昨日の試合でサインミスが多かったエンドラン、スクイズの練習をする。試合の経験が少ないせいからか、スクイズでの3塁ランナーのスタートのタイミングが速すぎたり、遅すぎたりで私の下手な牽制球にも簡単に刺されてしまう。サインプレー等はまだまだ練習が必要だ。

【18】日本寄贈のヘルメット!
(右は松中選手が使用したもの)

 練習試合で着用するユニフォームは社会人野球チームの松下から寄贈されたもの。松下の“M”がMyanmarのMと同じなので、背ネームをはがしてそのまま使用している。生地、刺繍がしっかりと作られていて私も一着欲しいくらいだ。
 選手達が使う野球道具のほとんどは日本から寄贈されている。ヘルメットには全日本と日本生命のマークが【18】。。全日本のヘルメットはシドニーオリンピックで使われた物。背番号3、5と入っている。ダイエー松中と近鉄中村が使った物だ! 日本でオークションに出したら1つ7,8万以上の値段がつくだろう。日本へ持って帰りたい気持ちをぐっと抑える(笑)。

 ミャンマーでは野球道具は売っていないのでとても貴重だ。ボール一つにしても選手達は大切に使っている。破れたボールの皮は、破れたスパイクのつま先にボンドで貼り付けられてカバーとして利用される。ここまで使ってもらえれば寄贈した人も喜ぶだろう。ミャンマーに来てから、私も物を大切にすることの大事さをあらためて考えさせられた。



国は違えど人に悩みは付きものなのだ
【19】サンウィン君
(テレビ番組「ぽかぽか地球家族」で主役!)

5月5日(月)
 今日は晴れているが、雲が多く太陽が隠れていて涼しい。月曜日なので仕事が休みの中嶋君が練習に参加。中嶋君に通訳してもらいながら選手達と談笑する。私の「将来の夢は?」との質問には「お金持ち」、「日本に行きたい」等々。。具体的な職業は出てこなかった。現実的な答えを聞いて、こんなところは日本とはだいぶ違うなと感じる。

 サンウィン君【19】とも初めてじっくりと話す。サンウィンは16才で野球を始めて半年ほどの選手。練習には3日参加1日休みといった具合で参加している子だ。この子はいつもニコニコ笑っていて笑顔を絶やさない子だ。悩みなどなさそうに見えたので、私は冗談で「サンウィンは悩みなんかないだろ?」と質問してみた。サンウィンはうつむきながら「私の家は比嘉さんが考えられないくらいせまい家です。その家で4人で暮らしていることが悩みです」との答え。。。まずいことを聞いてしまったと後悔する。。野球場で見る選手達はどの選手も楽しそうに見えるが、それぞれに私の考えもつかないような悩みを抱えているのだろう。。サンウィンの将来の夢は「立派な家を建てること」。簡単ではないだろうが、目標をしっかりと持って頑張って夢を実現してほしい。

 午前中はスクイズの練習とシートノックで終了。午後は岩崎さんが仕事で不在。中嶋君と練習メニューを考える。監督がいないと緊張感なく多少だれてしまうので、飽きさせないために時間いっぱいフリーバッティングをさせる。
【20】遺跡都市バガン

 ミンルイの打球がレフトフェンス直撃の飛距離100メートル。もうちょっとでオーバーフェンスだ。ミャンマーチームの初ホームランはミンルイかマンマンティンだろう。2人とも良いパワーをしている。フリーバッティング中の外野では、相変わらずボールの捕り合いだ。初めの3,4日は私には遠慮していてボールを譲ってくれていたのだが、最近は横捕りされるようになった。私も負けないようにボールを追いかける。

 練習の終わりころに岩崎さんがやってきた。岩崎さんが来ると選手達に緊張感が生まれるのがわかる。練習終了後は岩崎さん宅で夕飯をご馳走になる。やはり日本食は美味しい。明日から4日間は練習を休んで旅行に行く。ヤンゴンから約500キロ離れた遺跡の町バガン【20】へ。午後9時にホテルへ戻り旅行の準備をして午後10時に就寝。



遺跡都市バガンにて思う

5月6日(火)〜5月9日(金)
 バガンでは遺跡巡りがメインだ。広大な平原に大小、形も様々な仏塔、寺院が立ち並んでいる。赤茶色の平原を見渡しても人影はあまり見られない。自動車も少なくて車よりも馬車が多い。【21】【22】【23】
 ホテル横にある雑貨屋のお爺さん(中国からの移民だそうだ)は、子供のときに日本人と話したことがあると話してくれた。今はのんびりした雰囲気のバガンだが、戦時中には15万人もの日本人が戦死したとのこと。この地で志半ばで亡くなった人達のことを考えると胸が痛む。。命の大切さ、自分の好きなことが出来る素晴らしさをあらためて確認する旅行となった。

【21】寺院1
【22】寺院2
【23】巨大遺跡



2003年11月23日掲載

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比嘉 満


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